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地域包括医療ケアシステム

小鹿野町における保健・福祉・医療連携システム

高齢化社会を迎えて、人生をいきいきと実り豊かに過ごすことは多くの人々の願いです。
住み慣れた地域で、いつまでも健康であり続けることを最大の目標・願望とし、必要となった時にはすぐに適切な治療や介護が受けられる、安心して生活できるシステムが必要です。
小鹿野町では、保健、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスが切れ目なく、一体的に提供される体制をつくり、有機的な連携を図っています。
この「保健・医療・福祉がひとつにつながり、健康維持・増進・予防・治療・介護にかかわる」システム、安心と信頼を得て、町と、そして住民と一緒に作り上げるシステムこそが「地域包括医療ケアシステム」にほかならないのです。

想いと組織でかかわる小鹿野町地域包括ケアシステム

小鹿野町の取り組みの経過

小鹿野町の地域包括医療ケアシステムでは、保健師を中心に地域の中で予防活動や訪問活動を展開し、介護が必要な高齢者や家族の状況を把握、H4頃から福祉と連携をとりながら在宅支援の課題解決や社会資源の活用など図ってきました。平成10年には養護老人ホームの中に在宅サービスの充実・連携をより強化するため総合保健福祉センターを開設し、その中に在宅介護支援センター・ヘルパーステーション・訪問看護ステーションが配置され、保健と福祉が主となる行政指導の地域包括ケアシステムの第1歩を踏み出しました。平成12年介護保険導入時にはこれらが直営で対応し、スムーズなサービスの利用につなげることができるようになっています。
医療分野においても、急速な高齢化や疾病構造の変化、医療技術の高度化、介護保険制度開始などから町立病院を巡る環境も大きく変化し、平成14年町立病院を改築し、新たに介護療養型医療病棟及びリハビリ科を開設、通所・訪問リハビリのサービスを開始しました。それにあわせ町では現状のシステムの再構築を図り、病院に併設して保健・福祉部門の入った保健福祉センターを開設し、直営の福祉事業を含めた関係機関の連携を強化する町立病院を核とした地域包括システムを立ち上げました。それにより住民のニーズに対する迅速な対応や、予防からリハビリまで一貫した支援の提供、医療、保健、福祉が一体となって広い視点から検討したサービスの提供が可能となっています。

地域包括医療ケアシステムの取り組み

会議での連携
  • 緩和ケア委員会
    週1回の入院・在宅療養者を対象としたカンファレンスと毎月1回の勉強会を行っています。本人や家族の思いを大切にし、医療と在宅での支援者が連携し限られた時間での最大の支援を考える機会となっています。
  • その他の会議
    院内会議・じょく瘡対策委員会・保健事業推進会議(町内医療機関の連携)・介護支援専門員会議・デイサービス等連携会議・居宅支援会議等
    • 包括ケア会議
      平成16年「包括ケア会議」開始。医師・看護師・理学療法士・保健師・管理栄養士・介護支援専門員・保健福祉課及び病院の管理職等で構成し、互いの業務を理解し問題解決を図るためにそれぞれの担当の取組や課題をレポートし検討しています。職員の意識改革・発想転換・円滑な人間関係づくりなど多くの効果があり連携を促進してます。月2回約1時間の会議ですが、その時間内だけでなく検討内容を持ち帰りそれぞれの担当者が考え業務に生かすことにもつながる重要な連携会議です。
    • 地域ケア会議
      月2回実施する「地域ケア会議」においてはただの情報交換ではなく、困っている住民の生活の調整・改善を目的として話し合いを進め、入院や在宅生活において誰が何に困っているか、問題点など意見を出し合い個々の支援をどうするか検討しています。要介護の高齢者は病院を退院する前から保健・医療・福祉のかかわりが検討され、退院と同時に在宅サービスが開始でき、安心して退院できるように努めています。ケースを通じ連携を継続することで互いの役割を理解しあう機会にもなっています。
    思いでつなぐチームケアを進めるために

    地域包括ケアシステムは人が人のためにサービスを提供する連携システムであるため、職員一人ひとりが意識をもつことと考えています。

    1. ケースの状況を共有し、ケース中心のケアの一貫性を保つ
    2. 各職種が主体性を持って力を合わせる
    3. それぞれが役割の理解と認識を深める
    4. 職員個々の資質向上を目指す

    まず、地域住民の生活が主役であることを大切に、また、互いの仕事を良く知り、効果的にかかわれることを心掛けています。これだけでも、困っている人のために、すぐに動き、早く伝えられるからです。 
    さらに、分野を超えて協力し合うことの意識。包括ケア会議でのテーマを持ち帰りつなげること、例えば医療で起きている問題をどうしたら予防できるか、地域で起きている課題を医療と一緒に考える機会をつくっています。
    住民へのかかわりや会議を重ねることで互いの役割を理解でき、共有化しやすく、住民への対応も必要時迅速にチームを組みかかわることが可能になります。忙しいで済まさず常に意識し、住民を中心に考え支えることに取り組んでいます。
    資質向上を目指すことも重要です。資質向上の手段のひとつとして「事例検討会」があり、平成8年から保健師が開始、現在では看護師・介護支援専門員などが参加しています。個人の特徴やアセスメントのみに注目せず、かかわり方の感性を磨いたり自分で判断し動ける適切な行動力を身につけ、真の住民のニーズ把握、解決のためにかかわりを振り返り、次につなげるという研修機会となっています。

    システムの効果、今後の課題

    この地域包括ケアシステムの取り組みと精神保健活動が認められ平成16年に保健文化賞を受賞しました。
    一人当たりの老人医療費が低いことや、在院日数が少ないことも特徴です。
    現在は保健・福祉・医療の三者の良さを高め協力し合える取組に進化してきていると感じています。例えば緩和ケアの対応では保健福祉サイドからは医療の力の大きさを知り、医療サイドも地域の支えなしでは実現できないことなどを理解し、命令関係でない対等な連携が図られつつあります。また、生活習慣の改善を図る「ヘルスアップ事業おがの」も保健・医療・福祉の連携協力により効果をあげています。さらに退院支援システムによりネットワークが構築されて安心して退院できる在宅支援を進められ、医療費削減の面においても良い影響があると考えます。

    今後の課題

    1. 包括ケア会議を含め、各会議の活用推進
    2. 町直営の地域包括支援センターの機能強化

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