Q&A
食後30分とは食事の後のちょうど30分後のこと、それとも30分以内のこと?それから、食間って食事の間のこと?
食後30分は、食事の30分後、といわれることがあるかもしれませんが、30分以内でもいいし、あまりこだわある必要はありません。どちらでも都合のいいときに飲んでもらって問題ありません。食間は、食事のおよそ2時間後のことをさします。もちろん食事をしながら飲むわけではありません。
薬の服用時間には、主に、次のようなものがあります。
- 食前:食事のおよそ30分前に飲みます
- 食直前:食事の直前に飲みます
- 食直後:食事のすぐ後に飲みます
- 食後30分:食事のおよそ30分後(または以内)に飲みます
- 食間:食事のおよそ2時間後に飲みます
- 就寝前:寝るおよそ30分前に飲みます。
ただし、あまり「30分」になどにこだわる必要はありません。正確に30分ではないといけないわけではありません。時間が多少ずれても、飲み忘れないことが大切です。
赤ちゃんに薬を飲ませるいい方法は?
まず、ミルクに薬を混ぜて飲ませるのは避けて下さい。ミルクに薬を混ぜるとミルクの味が悪くなり、赤ちゃんがミルクを嫌いになるためです。粉薬なら、おちょこやスプーンなどに薬をとり、水やぬるま湯を入れ、箸などで溶き、そのまま飲ませ、その後水やぬるま湯を飲ませて下さい。または、薬を水やぬるま湯で練って、指につけて、赤ちゃんの頬の内側や上あごにぬりつけ、その後水やぬるま湯を飲ませて下さい。赤ちゃんが下痢をしていなければ、砂糖などで味付けしてもかまいません。赤ちゃんには、ドライシロップ、という薬がでることがよくありますが、ドライシロップは水に溶けやすく、または懸濁しやすく、また甘い味がついています。普通は赤ちゃんには水に溶かして飲ませますが、小さな赤ちゃんではない子供の場合は、水に溶かしても、そのまま飲んでも結構です。水に溶かして何日もおくと薬の効果が落ちる場合があるので、何日分もまとめて溶かさないで、できればその都度溶かして飲ませて下さい。授乳後では、おなかがいっぱいで薬を飲まないときもあります。薬の服用時間が食後30分、となっていても、多くの場合、空腹時や食前に飲ませても良いと思います。
尿や便の色が変わる薬って?
薬を飲んだ後、自分の尿や便の色が変わったら、大変な副作用が起こったのではないかとビックリされる方もおられるかと思います。しかし、薬によっては服用するとそのものの性質により、尿または便の色に変化をきたすものもあり、たいていの場合は心配しなくても大丈夫です。しかし、希に抗アレルギー剤や抗菌剤などで副作用の結果として尿の色調が変わることもありますので、不安に思ったら担当医または薬剤師に相談するとよいでしょう。また、尿や便だけでなく汗や涙(ソフトコンタクトレンズが着色してしまったりする)の色が変わることもあります。
副作用ではなく尿の色を変えることのある薬剤の例
薬物 | 成分 | 色 |
ビタミンB2 | リボフラビン |
黄色 |
骨格筋弛緩剤 | クロルゾキサゾン | 燈-赤紫色 |
抗結核・抗ハンセン病抗生物質 | リファンピシン | 赤橙色 |
潰瘍性大腸炎治療・抗リウマチ剤 | サラゾスルファピリジン | 黄赤色 |
三環系抗うつ剤 | アミトリプチン | 青緑色 |
抗トリコモナス剤 | メトロニダゾール | 暗赤色 |
血圧降下剤 | メチルドパ | 黒色(尿を放置すると) |
鎮咳去痰薬 | ヒベンズ酸チペピジン | 赤色 |
下剤 | センナ | 黄褐~赤色(尿がアルカリの時) |
下剤 | フェノバリン | 赤色(尿がアルカリの時) |
鎮痙剤 | 臭化チメピジウム | 赤色 |
糖尿病性末梢神経障害用剤 | エパルレスタット | 黄褐~赤色 |
消炎鎮痛剤 | 塩酸チノリジン | 黄褐色の蛍光 |
抗パーキンソン剤 | レボドパ | 黒色 |
抗アンドロゲン剤 | フルタミド | 琥珀色または黄緑色 |
副作用ではなく便の色を変えることのある薬剤の例
薬物 | 成分 | 色 |
抗結核・抗ハンセン病抗生物質 | リファンピシン | 赤燈色 |
胃炎・消化性潰瘍治療剤 | 水酸化アルミニウム | 白色または小斑様 |
鉄剤 | 黒色 |
お酒と薬の関係は?
お酒は血液の循環を良くするため、薬の作用が強く現われるとされています。また、中枢神経を抑制する作用もあるので、同じ作用を持つ薬、特に催眠剤や精神安定剤では危険なこともあります。ただ、薬を飲んでいるからお酒は全て禁止、とすると、無理な方もいるでしょうし、人生がつまらなくなってしまう方もいるでしょう。飲んでいる薬や病気の状態にもよりますので、医師に良く相談をしてみましょう。先に述べたように、中枢神経を抑制する作用がある薬は、お酒と一緒に飲む場合に、薬とお酒のお互いの中枢神経抑制作用が強まり、注意が必要です。また、お酒により薬の作用が強まる薬も危険です。主な例として、睡眠薬、精神安定剤、抗うつ剤、精神分裂病治療剤、抗うつ剤、鎮痛剤、抗てんかん剤、抗ヒスタミン剤、血糖降下剤などは相互作用の危険性があります。
妊娠期間中のいつ薬を飲むと、危険度が高いの?
妊娠月数 | 1か月 (0~3週) |
2か月 (4~7週) |
3~4か月 (8~15週) |
5~10か月 (16~39週) |
服用の危険度 | 無影響期 | 絶対過敏期 | 相対過敏期~比較過敏期 | 潜在過敏期 |
奇形について | 奇形は起こらない | 一番注意が必要 | まだまだ注意して | 奇形はなくなっていくが、胎児への影響はあるので注意 |
薬の服用は、妊娠期間のいつ薬を服用したかによって、胎児への危険の度合いが違います。
- 妊娠3週まで:胎児の奇形はないと考えられる。ただし、薬に残留性があるもの(風疹生ワクチンや金チオリンゴ酸ナトリウムというリウマチ剤など)は注意が必要。
- 妊娠4週~7週末まで:奇形に関し一番危険な時期。胎児の重要な器官(中枢神経、心臓、消化器、四肢など)が発生、分化する時期であるためです。
- 妊娠8~15週末まで:重要な器官の形成は終わっているが、性器や口蓋はまだ終わっていないので、まだ注意が必要な時期です。
- 妊娠16週~分娩まで:この時期には奇形の心配はなくなります。ただし、奇形以外の薬の影響(副作用)があります。この時期には薬は胎盤を通過して胎児に移行します。薬により胎盤を通りやすいものと通りにくいものがありますが、一部の薬を除いて薬は胎盤を通過します。例えば妊娠後期では、解熱鎮痛消炎剤が胎児の循環に危険な悪影響を及ぼすことがあります。こうしてみると、当たり前かもしれませんが、妊娠4週以降は危険度に違いはありますが、薬は飲まないに越したことはありません。服用しなければならない場合は必ず医師の指示のもとに飲むことが大事です。ただ逆に、一度や二度の薬の服用で、全く心配ないのに、必要以上に心配をしすぎてしまう場合も多いようです。
妊娠の可能性が少しでもあったら、薬を飲んだらいけないの?
例えば、風邪をひいた場合などで言うと、次の月経がくる頃になったら、できるだけ月経が来るまで、つまり妊娠が否定されるまで、薬を飲まないようにすると安心です。月経予定日を過ぎて月経がまだなら、薬は飲まないことが安全です。病院の薬だけでなく、街の薬局で売っている薬も、飲まないことが安全です。 それは最終月経日から28日たった頃からが一番危険なときだからです(Q2参照)。最終月経日から28日目というと、次の月経がくる頃です(妊娠していれば、妊娠4週という時です)。ですから、多くの場合、妊娠に気がつかないで薬を飲んでしまうことにもなります。こんな時、風邪をひいたりすると、解熱鎮痛薬や風邪薬を飲んでしまい、その後、月経がなく、あとで妊娠がわかり、あの時薬を飲んでしまった・・と心配をするケースがとても多いようです。統計的にも、妊娠中のいつ薬を飲んでいるかを見ると、一番危険な絶対過敏期とされる28~50日までが一番多く飲まれています。つまり、妊娠に気づかないために薬を飲んでいます。飲んでいる薬の内容では、解熱鎮痛消炎剤、総合感冒剤、抗生物質が上位を占めています。誰でも妊娠していれば、むやみに薬を飲むのは控えると思いますが、月経が遅れるまでは、妊娠?と思わないことが多いので、薬のことまでは考えないものです。 理論的には、一部の例外を除き、最終月経日から28日目までは、薬を飲んでも奇形という点では、問題はありません。ただ、その後が、突然一番危険な時期になってしまうので、ちょっと計算違いや勘違いをすると心配なことになってしまいます。 ただし、一度や二度薬を飲んだからと言って奇形になる可能性が増える、ということは(薬によりますが多くの場合)ほとんどない、と考えられます。ただ、出産までの約280日の間、「妊娠に気づかずに薬を飲んでしまったので心配」などという無用の心配をしないですむように、妊娠の可能性が少しでもあれば、否定されるまで、不要の薬は飲まないような心がけが必要ではないかと思っています。 妊娠中の服薬については産婦人科医に相談していただきますが、少なくても、薬を飲んだからといって安易な人工中絶をするのは避けるべきです。